マンション管理・運営コンサルタントの彩の国マンション管理センター(埼玉県さいたま市)

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事例②  建物劣化診断により工事の着工時期を見直し
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事例②のマンションでは、当初の長期修繕計画で竣工後12年目に大規模修繕工事が計画されていました。

10年目に建物劣化診断を実施し、その際に作成された大規模修繕工事の予算案の通り、工事を行った場合、修繕積立金の大幅な増額が余儀なくされることがわかりました。

その為、修繕委員会が主体となり、長期修繕計画を見直し、建物の劣化状況の確認や勉強会などを行い、大規模修繕工事の実施時期や選定方法など全般にわたり検討されています。

事例③ 建物の劣化に関する調査・診断がなぜ必要か

国土交通省作成の「マンション管理標準指針」では、大規模修繕工事に関する標準的な対応を、以下のように定義しています。

項目 標準的な対応
大規模修繕工事の実施 適切な長期修繕計画に定められた時期を目安とし、調査・診断の結果に基づいて、計画された工事の要否、実施する工事内容等を決め、実施している。

計画された工事をその通りやるのか、その判断をするための調査でもあります。埼玉のある団地では、劣化診断の見積依頼前に要項書を取りまとめました。

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事例③のマンションでは、2年後に予定されている大規模修繕工事の実施時期をオリンピックの開催による工事費の高騰を勘案し、それを延ばすことが妥当なのか、建物劣化診断を行います。
劣化診断の調査会社選定のために前回の大規模修繕工事の問題点やこれまでの経緯を確認し、それらの情報を見積参加会社に伝え、見積もりを取ります。
建物劣化診断がより有意義なものにするためにそのような作業を行っています。

マンションではどのような調査・診断を行うか

一般的にマンションでは、以下のような調査・診断を行っています。

建物点検 建物調査診断 耐震診断
大規模修繕工事の実施 管理会社が委託契約に基づき年1回実施 大規模修繕工事の前などに劣化状況調査 特に旧耐震基準のマンションの耐震調査
内容 目視で共用部分の劣化状況の程度を調査し、優先順位により修繕費を予算計上する際の基礎資料とすることもあります。 大規模修繕工事の実施時期の判断や仕様を検討するために塗膜付着力試験、コンクリート中性化深度試験などを行います。 耐震改修の要否を判定します。旧耐震基準の建物では、所在地により、この診断が義務化されることもあります。
1.建物点検

マンション管理会社が管理委託契約に基づき、屋上や廊下、階段、外構廻りなど、共用部分の劣化状況を年1回程度点検しています。
この点検では、ひび割れや漏水など劣化の拡大を防ぐための対処の提案や修繕費の予算計上の資料となることが求められます。
しかし、点検報告書を見ると点検自体が形骸化しているケースも見受けられ、そのような場合は、費用対効果が低くなります。

2.建物調査診断

大規模修繕工事の前などに建物の劣化状況を調査

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大規模修繕工事の前などにマンション管理会社や設計事務所などが共用部分の目視点検の他に破壊調査を行うこともあります。
破壊調査としては、タイルの引張調査、塗膜付着力試験、コンクリート中性化深度試験などを行います。
各破壊検査の実施については、築年数や過去の工事の履歴などにより、検討が必要です。

3.耐震診断

耐震診断の基準となるis値とは、構造耐震指標のことをいい、地震力に対する建物の強度、靱性(変形能力、粘り強さ)を考慮し、建築物の階ごとに算出します。
「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」の告示により、震度6~7程度の規模の地震に対するis値の評価については以下の様に定められています。

is値 危険性
is値が0.6以上 倒壊、又は崩壊する危険性が低い
is値が0.3以上 0.6未満 倒壊、又は崩壊する危険性がある
is値が0.3未満 倒壊、又は崩壊する危険性が高い

旧耐震基準により建設された建物が大きな地震が来たときの被害を判断するには、耐震診断を行う必要があります。
現地調査と建物図面に基づき構造性能を求め、大地震時に必要な耐震性能(目標性能)を比較して耐震改修の要否を判定します。
宅建業法で定める重要事項説明書には、この診断の実施の有無を記載します。診断が義務化されている地域もありますが、診断の実施については充分に管理組合のコンセンサスを得る必要があります。

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