マンション管理・運営コンサルタントの彩の国マンション管理センター(埼玉県さいたま市)

セミナー・相談会レポート

2016/6/25(土)開催セミナーレポート

すべては、建物の診断から ~建物の劣化状況チェックから進める大規模修繕工事~

すべては、建物の診断から ~建物の劣化状況チェックから進める大規模修繕工事~
開催日
開催場所

今年度第3弾のセミナーは、マンションの劣化診断をテーマとしました。 大規模修繕工事を実施するにあたっては、どこまで調査するのか、それぞれ程度の違いはありますが、必ず建物の劣化状況の調査を行います。また、日常管理を管理会社に委託しているのであれば、よほどのことがない限り管理会社が年に1回は建物調査を行っているはずです。 今回のセミナーでは、それぞれの調査点検の目的と活用方法について、参加者のみなさんと一緒に考える場となりました。

第1部:建物の傷み具合を知る手段・劣化診断の種類を学ぶ

建物の診断には、マンションの管理会社が行う「建物点検」、大規模修繕工事の「建物調査診断」、旧耐震基準の建物が対象となる「耐震診断」などがあります。それぞれの調査診断業務の内容やチェックポイントについて考えてみました。「建物点検」や「建物調査診断」などは、管理組合でその内容を精査する必要があります。また、「耐震診断」では、その結果も含め事前に管理組合内でのコンセンサスを得る必要があります。

25年間建物劣化診断調査を行わなかった事例

前回のセミナーでもご紹介した25年ぶりに大規模修繕工事を実施したマンションの工事が6月末で工事が完了となります。それまでの経緯をあらためて振り返ってみました。
そのマンションは、竣工以来マンションを分譲した会社が40年以上にわたり管理業務を行っていたようですが、その間、大規模修繕工事は1回実施しただけで、その後は建物の劣化状況の調査などは実施せず、ひび割れなどの不具合を放置していたような状態でした。設備配管においても、数年前に汚水管から漏水が発生し、専有部分に被害を与える大きな問題に発展してしまいました。
今回の大規模修繕工事では、ひび割れの補修が当初予定していた範囲を大きく上回り、そのぶん工事費用も大きく跳ね上がりました。工事が完了して、建物劣化状況を適確に点検し、対処することが重要であるとあらためて実感しました。

築14年、建物劣化診断により工事の着工時期の見直しの事例

長期修繕計画では、竣工12年目で大規模修繕工事が計画されており、管理会社からは「それは法律で決まっている」との説明を受けたという管理組合理事。
大規模修繕工事を何年目にやらなければならないと決めるような法律はありません。また、たとえ長期修繕計画に○○年に大規模修繕工事を行うと計画されていても、必ずしもその時期に大規模修繕工事をやらなければならないということでもありません。だからこそ、大規模修繕工事の実施時期を正しく判断するために、明確な指標となる建物の劣化診断を行うべきです。
このマンションでは、長期修繕計画のなかに記載されている大規模修繕工事の実施時期や、優先度の低い工事の計画などを見直すことにより、修繕積立金の支出の予算を大幅に軽減することができました。

築27年、大規模修繕工事の実施時期を判断するための建物劣化診断の事例

長期修繕計画上では、2年後の2018年に大規模修繕工事が計画されているマンション。オリンピック開催を間近に控え、それに伴って建築工事費が高騰するのではないかと懸念していました。そこで、大規模修繕工事の実施をオリンピック後に延ばせないかと考え、その判断材料とするために建物劣化診断を行うことになりました。
前回の大規模修繕工事では、施工不良や漏水など諸々の問題が発生したこともあり、今回の工事はより慎重に計画を進める必要がありました。そこで、事前に建物の問題点や今までの経緯などを詳しく業者に伝えるための「建物劣化診断業務要項書」を作成。工事計画の礎となり得る、正確な建物劣化診断を実施することがねらいです。

うちのマンションに必要な工事は何?劣化診断報告書を読み解く

「建物点検」、「建物調査診断」、「耐震診断」のそれぞれについて、実際に報告書と事例をもとに注意点を考えてみました。セミナーの出席の方々全員のマンションが管理会社に管理を委託されているとのことで、「建物点検」の報告書を特に細かく見たことがないとのこと。
「建物調査診断」の報告書についても同様に「見たことがない」「そもそもどこに保管されているのか知らない」といった意見がありました。それをいいことに、それなりの点検や調査にとどめいている業者もままあるのが現状です。
第2部では、一般財団法人 彩の国マンション管理センターで行ったさいたま市の団地での建物診断の事例を紹介しました。その団地では建て替えを検討していましたが、当然実現は難しい…。そこで、建物長く持たせ、快適に毎日の生活を送るにはどうすればよいのか、という観点で調査作業を進めました。 建物の調査や点検は、それぞれの目的を明確にし、報告書に書かれていることをよく確認し、管理組合の運営に活かすことが重要です。

参加者のみなさんの声

毎回、出席者していただける方も増え、今回も活発なご質問やご意見をいただきました。アンケートにも「報告書を見てみる」との記載もあり、今回のセミナーにより、管理組合のみなさんが報告書をよく見るということが重要であるということが多少なりともご理解いただければ幸いです。
建物をしっかり見ることが、建物の守ることに繋がります。
毎回参加いただいている方々、今回初めて参加いただいたみなさん、忙しいなかに時間を作ってセミナーに参加いただき、ありがとうございました。

セミナー・相談会レポート 一覧

まずはお気軽にお問い合わせください

お問い合わせは、フォーム、または、お電話にてご連絡ください。

最新情報・お役立ち情報 更新中

  • Instagram
  • youtube